工事手順や費用を事前にしっかり理解しておけば、設置に向けた施工店との意思疎通もスムーズにおこなえる可能性が高まります。
この記事では、エコキュートの導入に欠かせない、エコキュートの工事について詳しく解説しています。
安心かつ快適なエコキュートライフを過ごすためにも、設置前から設置完了までの主な手順、注意点や費用などをチェックしましょう。

まずは設置スペースの確認&確保
現在エコキュートが設置されているスペースにそのまま設置することが出来るかの確認が必要です。
エコキュートには「貯湯ユニット」と「ヒートポンプユニット」の2つの機器があるため、この両方を設置できるスペースが必要になります。
あまりにも狭い場所に設置してしまうとメンテナンスができなかったり、場合によっては保証適用外になることもあります。
そのため、メーカーのほとんどは設置した際の障害物との距離及び、貯湯ユニットとヒートポンプユニット間の距離に規定を設けています。
メーカーごとに微妙に違いはあるものの、障害物(壁など)との距離は10~30cm、
貯湯ユニットとヒートポンプユニット間の距離は30~60cmが目安となっています。
次に、各ユニットのサイズについて見ていきます。
貯湯ユニットのサイズは貯水容量によって若干異なりますが、スタンダードな「角型タイプ」の場合、平均で高さ2m前後、奥行き70cm前後、幅60cm前後となっています。
一方ヒートポンプユニットは、高さ60cm前後、奥行き30cm前後、幅60cm前後と、エアコンの室外機と同程度である場合がほとんどです。
旧給湯システムの撤去
設置するエコキュートのタイプと設置場所を決めたら、いよいよ待ちに待った設置工事…といきたいところですが、その前にこれまで使っていた灯油ボイラー、ガス給湯器、電気温水器、または寿命を迎えたエコキュートなどの旧給湯システムがあれば、それらを撤去する必要があります。
エコキュートを以前から使用していた場合は、これといって特に心配する必要はありません。
しかしガス給湯器の場合は、専門の業者に撤去依頼の連絡を入れておき、エコキュートの設置前に撤去を行う必要があります。
灯油ボイラーも同様の作業が必要ですが、もしタンクの中に灯油が残っていた場合、
量に応じて処分費用がかかってしまう場合があります。
ファンヒーターやストーブなどの灯油を使う機器をお持ちの場合は、なるべく使い切ってから撤去することをお勧めいたします。
基礎工事には2パターンある?どちらがより安心?
エコキュートの設置において、最重要と言っても過言ではないのが基礎工事です。
エコキュートからエコキュートへの交換の場合は既存の基礎を使いますので心配の必要はありません。
基礎工事には鉄筋を組み、コンクリートを流し入れて土台を作る「現場打ち」と、
既に出来上がっている専用のコンクリートを組み合わせて作る「エコベース」の2通りの施工法があります。
現場打ちだと完成まで約2~5日要するのに対し、エコベースの場合はほぼ1日で工事が終わるため、「早くエコキュートを設置したい!」という方には、後者の方が魅力的に映るかもしれません。
しかしエコベースはその構造上、地盤が弱い土地での固定は難しいと言われています。
地中に耐震プレートをしっかり打てば、一定以上の耐震基準をクリアすることは可能ですが、やはり地盤の強弱に関わらず高い耐震性を誇っているのは、エコベースよりも現場打ちだと言えます。
基礎工事をしっかり行えば、エコキュートの交換時期が来ても土台はそのままに、本体のみを交換するだけで済みます。
エコキュート設置工事の内容は?
エコキュートの設置工事はどれくらい時間がかかる?
エコキュートの設置工事に、それほど時間はかかりません。
配管の状態や設置場所、設置工事をおこなう業者などにもよりますが、半日程度(4~7時間)で完了することがほとんどです。
なお、設置工事そのものは半日程度ですが、希望するエコキュートの在庫がない場合は取り寄せ期間が発生することがあります。
設置工事当日はお風呂に入れるの?
設置工事の開始時間や工事内容などによりますが、当日入浴は可能なケースがほとんどです。
例えば、標準的な設置工事時間は、約6時間程度です。
設置工事終了後は、沸き上げのために3時間程度かかりますが、それでも当日中には入浴できるでしょう。
寝るのが早い子供やお年寄りがいる家庭でも、午前の早い時間に設置工事を依頼すれば、いつもとそう変わらない時間に入浴できるはずです。
設置工事の日が雨だったら延期?
エコキュートの設置工事は、天気が良い日でなくても構いません。
ほとんどの業者が、雨の日であっても設置工事を受け付けています。
雨の中でエコキュート本体の設置をおこなっても、エコキュートや設置工事に影響は出ないので安心してください。
ただし、大雪や台風、警報が発令されているような激しい雨風といった悪天候だと、設置工事に差し支えるため中止になるケースがあります。
その際は、設置工事をおこなう業者から、別日の提案を受けることになるでしょう。
エコキュート設置工事の注意点
エコキュートを使うためには配管工事が必要不可欠
基礎をしっかり固めたら、次は配管工事が必要になります。
エコキュートの設置以前に電気温水器や給湯器を使っていた場合は、今まで使っていた配管をそのまま使い続けることが多いです。
しかし、今まで使っていた給湯器とは違う場所にエコキュートを設置する場合には、
新たに配管工事が必要となるため、リフォーム会社とも相談する必要があるでしょう。
エコキュートを設置する際には、配管の位置も確認してから場所を決めることをお勧めします。
エコキュートにおける配管工事には、貯湯ユニットとシャワーや蛇口を繋げる「給水配管工事」、タンク内のお湯を浴槽に送るための「追い焚き配管工事」(追い焚き機能のあるエコキュートに限る)、タンクからきちんと排水が行われるようにする「排水配管工事」の3つがあります。
給水配管や追い焚き配管は、以前から使用しているものがあれば引き続き使用できます。
ちなみに配管工事にかかる時間は約3~5時間ですが、その間は断水が発生するため、シャワーや蛇口を使用することができなくなります。
工事の日は水を何杯かのバケツに貯めておくなど、あらかじめ対策をとっておくと良いでしょう。
待ちに待った本体設置工事!配線もしっかりチェック!
全ての配管工事が終わったら、いよいよエコキュートの本体を設置します。
貯湯ユニットとヒートポンプユニットを設置予定スペースまで運んだら、基礎工事で固めた土台の上に、底が平らになるように取り付けていきます。
2つのユニットを土台に固定したら配線工事に入るのですが、この配線工事こそ、最も施工ミスが起きやすい工程と言われています。
エコキュートを稼働させるためには、貯湯ユニットの電源線とアース線、ヒートポンプユニットの電源線とアース線、キッチンと浴室に設置するリモコン用の信号線…など、複数の配線が必要となります。
そのため少しでも絡まったり、配線の順序を間違えてしまうと、リモコンが正常に動作せずエコキュートが稼働しない、という不具合を起こしてしまう場合があります。
本体設置も配線も全て業者が行うからといって丸投げにせず、「ヒートポンプユニットが傾いていないか」「この配線の位置は間違っていないか」など、気になることがあれば逐一確認するように心掛けておきましょう。
電力会社との契約内容を確認する必要がある
電気代の安い時間帯に沸き上げを行うことで、エコキュートは光熱費が安くなります。
基本的には、夜間の電気代が安くなるプランになっていれば問題ないでしょう。
しかし、リモートワークといった事情で日中も電気を使うのであれば、そのようなプランは不向きな可能性もあります。
日中の電気代が高くなると考えられ、エコキュートを設置したにもかかわらず、全体的な光熱費はかさんでしまうかもしれません。
契約プランは各家庭のライフスタイルに合わせたものを、じっくりと検討する必要があります。
電気プランの確認は設置前に電力会社に確認しておきましょう。
エコキュートの設置工事費用を安く抑えるには?
設置工事費用が安くなる条件を確認
エコキュート設置工事の相場価格は、本体価格を含まなければ10~20万円ほどになります。
上下で10万円ほどの差が生まれるのは、住宅によって工事の条件が異なるためです。
下記のいずれか、または両方に当てはまるケースであれば、トータルの設置費用が安くなることがあります。
- 基礎は既存のものを使用する
- 既存配管の再利用が可能
エコキュートの交換であれば、基本的に既存配管を再利用して費用が抑えられるケースが多いです。
逆に、下記のいずれかに当てはまると、設置工事費用は高くなる傾向があります。見積もりをする際には、内訳を確認してください。
- 配管を新しいものに交換する(リフォーム会社に要相談)
- 依頼した設置工事業者が、工事を下請けに外注している
他にも、どの範囲までが標準工事として含まれているか、確認することも大切です。
標準工事の範囲は業者によって様々で、範囲外の作業は追加費用としてかかってしまいます。
例えば、エコキュート本体と専用ブレーカーの距離が離れている場合(おおよそ5メートル以上)だと、標準工事の範囲外になることが多いでしょう。
他にも、分電盤の容量に不足がある場合は、追加の交換工事をすることになります。
設置場所の地盤が不安定である際には、転倒のリスクを抑えるために、壁と貯湯ユニットタンクをしっかり接続する「転倒防止アングル設置工事」を追加で行うことになります。
事前にリフォーム会社・業者に確認し、詳細の見積を確認しておきましょう。
エコキュートの設置で補助金が出ないかチェック
エコキュート設置時に、自治体が補助金を出してくれることがあります。
自治体によって補助金制度の有無や金額が変わるため、事前の確認が必要です。申請する自治体にもよりますが、申請書類を用意する他に、少なくとも下記の条件も満たす必要があるでしょう。(詳しくは各自治体にお問い合せください)
- 導入するエコキュートの給湯設備に、ヒートポンプの仕組みが取り入れられている
- 導入するエコキュートが新品である(中古品やレンタル品は不可)
- 地域に対応しているエコキュート本体である
(冬場に大雪が降るような寒い地域に住んでいる場合、寒冷地仕様のエコキュートを選ぶ必要があります) - 補助金申請をおこなった人がその住居に住んでいる
注意点として、補助金には回数が決められているケースも多々あります。同一世帯に住む別の家族が初めて申請をおこなっても、一回目にはなりません。
また、エコキュートの設置工事をおこなう前に申し込みをおこなうことが大切です。
事前に書類を提出する必要があり、設置工事をおこなうのは補助金の交付が決定してからになるでしょう。また、設置工事をおこなう業者についても、自治体から指定されることもあります。問い合わせをしたら、すぐに設置工事を実施できるというわけではないため、時間には余裕を持って行動するようにしてください。
業者を吟味。本体価格のみか工事費込みかよく比較する
エコキュートの設置工事を依頼する際は、複数の業者を比較すると良いでしょう。
ホームページや通販サイトをチェックしていると、格安価格が表示されているケースがあります。
しかし、一見安く見えたとしても、本体価格のみを表記していることも珍しくありません。
本体価格のみの場合、工事費は別途かかることになるので、内訳をしっかり把握することが大切です。
逆に一見高額に思えたとしても、各種設置工事に関する費用がすべて込みで表記されていることも多々あります。
悪質な業者にひっかからず、満足度の高い工事をおこなってもらうためにも、様々な側面から複数の業者を比較検討する必要があります。
まとめ
今回はエコキュートの設置工事について、設置前から設置完了までの主な手順、注意点や費用まで、詳しくチェックしていきました。
基本的に施工のすべては業者に委託する場合がほとんどですが、設置者側も最低限の工事内容は把握しておくことが大切ということが分かりましたね。
設置をお考えの方にとって、当コラムが少しでも不安解消のきっかけになれば幸いです。
買い替えや交換をお考えでしたら、ぜひ水彩ドットコムまでお問い合わせください。